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DTPの進化と制作環境



OVERVIEW

DTPが誕生して30年余りが経過し、いまや印刷物の多くがデジタル化=DTPにより制作されるようになった。印刷業界のデジタル化は、私たちに何をもたらしたのか?プロフェッショナルが分業によって行ってきた製版・印刷工程という仕切りがなくなっていき、誰もが入稿データの作成が可能になった。ここでは、印刷業界にDTPが普及してきた過程を振り返り、今日のDTP制作に必要な環境を概観する。より短時間、低コストで高品質な仕上がりを得るための制作環境を構築してほしい。



■DTPの登場

これまで数多くのプロセスを経て作られていた印刷用の原稿や刷版を作成。する業務は、米・Aldus社(アルダス。現アドビシステムズ)の創業者ポール・ブレナードが提唱した「DTP(DeskTop Publishing)」という概念、手法で作られたページレイアウトソフト「PageMaker」、同時期に発表されたアドビシステムズのページ記述言語[PostScript」(PS)、アップルの「PS搭載 プリンタ「LaserWriter)」、これら3製品の登場が契機になり大きく変わった。とくに印刷の前工程は、集版・製版など手作業による細かな工程が多かっ

たが、DTPによって制作者自身が最終形に近いものづくりができるようになった。DTPの環境が整うと、作業効率と自由度は高まったが、既存の工程ごとのプロの分業体制が失われ、品質の低下が叫ばれるようになった。DTPの普及は、ブラットフォームとして視覚的な認識で操作を誘導するGUI(Graphical User Interface、グーイ)をもつ Macの役割が大きかった。手で触れているような感覚でパソコンが操作できる。モニタで見たままオブジェクトを切り貼りしているように作業できる。そうした概念が編集者やデザイナーに広く受け入れられた。モニタ上で確認した内容が、実際に出力できることや(WYSIWYG:What You See Is What You Get、ウィジウィグと称する)、PS言語による印字品質の向上などもDTPの普及には不可欠だった。国内では1987年にページ組版ソフト「PageMaker 2.0 日本語版」が発

表され、2年後には日本語フォント搭載プリンタ「NTX-J」と「QuarkXPress日本語版」も登場し、印刷物制作の現場が大きく変貌するきっかけとなった。


■DTPの進化

その後、さまざまなDTPソフトウェアが登場して制作環境が本格的に整えられていくのと同時に、PostScript対応の和文フォントの環境も整備が進んだ。1989年当時には細明朝体と中ゴシックの2書体のみだったが、現在では市販の和文フォントの選択肢は大きく広がっている。レイアウトソフトとデジタルフォントの組み合わせにより、デザインの自由度が広がる一方で、フォントを利用する際の管理も必要になっている。

印刷(製造)側も歩調を合わせて、DTPで制作したデータを受け入れる態勢の整備が進み、制作環境が一挙に進化して現在のDTPワークフローが確立した。現在のDTPシステムは、印刷直前までの工程をすべてこなしてしまうシステム(デジタル・プリプレス)という捉え方に変わっている。近年では、紙媒体以外のデジタルコンテンツの需要が急速に増えている。こうしたデジタルコンテンツも、印刷用のレイアウトソフトやレタッチソフトを利用してデザインを組み立てたり、書き出しを行うことが可能になってきており、新しい時代に対応するワークフローが次々に生まれている。


■DTPに必要な制作環境


・ハードウェア

DTPの制作環境は作業内容と作業量、投資額などの条件により決まる。実際、マシンとディスプレイだけでデータ作成をしている現場 (ミニマム装備)もあれば、画像入力から出力まで内製化している現場(マキシマム装備)もある。マシンとディスプレイは最低限必要だが、簡易的なDTPではディスプレイー体型のiMac、小型のMac miniやMacBook Pro+ディスプレイの組み合わせでも問題ないだろう。入出力系の機器も制作物の内容や、担当する作業の範囲で変わる。入力系では、デジタルカメラと出力物を取り込むためのスキャナ、出力系では、完成したページイメージを紙上で確認するためのプリンタ、データの受け渡しやバックアップに不可欠な外付けHDDやフラッシュメディア、クラウドサービスなどのストレー

ジなどが必要だ。


・ソフトウェア

Macを主軸としたDTP環境は、雑誌や書籍の制作を行うエディトリアル分野、カタログやチラシなどを制作する広告分野、CDジャケットなどクリエイティブ系の制作物を中心に整備されている。macOS向けにリリースされているDTPソフトウェアは、フォトレタッチ、イラストレーション、レイアウトなど、いずれのジャンルも定番ともいうべき製品はかなり限られており、macOSを基準にすると、主要なソフトはアドビシステムズ社の製品を中心に

構成されているといえる。アドビシステムズのソフトウェアを組み合わせて使用することで、アプリケーション間でのカラー設定やソースの共有ができ、品質の安定確保に役立つ。1つのコンテンツをWebにもDTPにも使う、いわゆるワンソースマルチユースが実現できる。また、ソフトウェア固有のネイティブファイル形式のまま制作上の連携が図れることもポイントだ。組版を行う場合は印刷出力に適したフォント環境を整える必要がある。またクライアント自身で素材を作成する場合には、Microsoft Officeなどのビジネスソフトウェアを利用することもある。


・ネットワーク・通信環境

パソコンとプリンタやスキャナなどの周辺機器類はネットワークを介してデータを送受信する。有線LANで繋ぐ場合は、ネットワーク接続の人数、周辺機器の利用人数に応じてネットワークを構築する。無線LANの場合は電波なので、複数人数でも設定を揃えれば同条件で利用できる。インターネット環境との接続は、DTPの制作環境において欠かせないものになった。ソフトウェアのインストールやアップデートなどの操作に必要な他、入稿データの受け渡しの際にも、インターネットを介したストレージサービスを利用して行うようになっている。

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